孤高の二人

ジャコメッティ

フランスの彫刻家(スイス人)1901年~1966

 

私が一番好きな彫刻家です。

彼は最初から細長い人物像を製作するつもりでは無く、人物を凝視しているうちに段々このような形になったらしい。

 

 

 

日本人の哲学者 矢内原伊作氏がフランス留学中に彼と知り合い、モデルとして数十時間、時を同じにする中で感じた事を「ジャコメッティと共に」という名著で語っています。

 

ジャコメッティは後半生をパリの片隅のアトリエ兼住居で黙々と彫刻や絵画を制作する日々を送りました。

 

彼は午前はカフェで奥様と共にゆで卵とクロワッサン、コ-ヒ-等で済まし、仕事が終わる夜半には、いきつけのレストランで食事をする日々だった。決して住まいの中に 鍋窯といった類いの物を置く事を嫌ったそうです。

 

先日、栗塚氏とお会いしました。

お会いする度に俳優として歩んでこられた81年の人生の沢山ある引き出しを折りに触れ、一つ一つ開けて見せて下さいます。

 

リアルタイムの世事、美術、人間模様・・・近々ご覧になった映画等々

時折、座を笑わせユ-モアを交えながら諸刃で一刀両断される事もあります。

 

そして、常に御自分を律され、弱い立場の方に対する思いやりが溢れる場面を、同行する中で何度も目に致しました。

先日、中島貞夫監督の時代劇映画に片田舎の老僧の役で出演、撮影を終えられたとの事。

上映は来年らしいです。映画は撮影が終わってからの編集に長い時間を要する。と言われました。上映を心待ちにしております。

 

 

夜も更け、大丈夫かしら・・と主人共々に見送りましたが、颯爽と肩で風切るような後ろ姿はまるで侍を演じているお姿でした。

 

帰宅して久し振りにジャコメッティの分厚い画集を開いてみました。

ジャコメッティはパリスカラ座での歌舞伎上演にとても感動したらしい。

画像に載せた頭部の彫像は、どこか栗塚氏の風貌に似ている感じがします。